環境ビジネス

環境問題の解決に向け、長年培ってきたノウハウの提供を行っています。

環境ビジネスの方針

地球温暖化をはじめとするさまざまな地球環境問題の解決において、その中心的役割を担っている森林に深く関わる住友林業グループには、生物多様性に配慮した持続可能な植林事業や、バイオマスの利活用、またさまざまな環境緑化事業や環境配慮商品など、環境ビジネスとして事業化の可能性を秘めた分野が数多く存在します。これまで培ってきた知識やノウハウを活かし、「木」に関するコンサルタント事業とそれに伴う現場実行機能を備えたビジネスモデルを構築し、「資源」と「環境」をマッチングさせた「環境問題のソリューションビジネス」を展開します。

社内外からの声
  • 地域全体での環境計画に積極的に関与してほしい。(有識者)

「生態系ネットワーク迅速診断サービス」の開始

方針・計画

企業の緑地をCSR活動に活用するコンサルタント事業「エコアセット」™を実施していきます。その背景には、2010年、愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)を機に、日本経団連「生物多様性宣言」や環境省「生物多様性民間参画ガイドライン」が発行されるなど、ビジネスと生物多様性に関係する活動の活発化があります。

  • 住友林業緑化(株)、(株)インターリスク総研、(株)地域環境計画の3社共同のコンサルタント事業

実績

他企業と共同で生物多様性ポテンシャル評価システムを開発

住友林業緑化(株)では、(株)インターリスク総研、(株)地域環境計画と共同で、事業所等の生物多様性ポテンシャル評価システムを開発しました。これは、事業所周辺の航空写真やデータ、文献を基に生物多様性のポテンシャルを簡易に評価する日本初のツールです。これにより、事業者は複数の事業所の中から、生物多様性保全の取り組みを特に優先して行うべき事業所を選定できるようになりました。

生物多様性ポテンシャル評価の結果、重要拠点が判明

開発段階からご協力いただいたパナソニック(株)のグループが所有する国内全121拠点の評価を実施しました。その結果、パナソニック(株)の本社が位置する「大阪守口・門真地区」と11事業所が、生物多様性保全に重要な拠点であることが明らかになり、いきもの共生事業所のモデルとして位置付けられました。

今後の計画

緑地を切り口とする新たな環境ビジネスとして普及に努めます。

折板屋根緑化システム「苔かんむり」を販売開始

方針・計画

省エネルギーやヒートアイランド現象の緩和に向けて、緑化事業を推進しています。


「苔かんむり」断面図

「苔かんむり」の施工例

実績

住友林業緑化(株)は、日差しや乾燥に強い「スナ苔」を用いて、高い耐火性、耐風圧性を保有し、工場立地法の「緑地」にも適合する屋根緑化システム「苔かんむり」の販売を2011年5月から開始しました。「スナ苔」の植栽基盤には、土が不要な不織布を使用するため、培土が飛散したり苔が枯死したりすることがない省メンテナンスな商品です。また、遮熱性に優れており、CO2と光熱費の削減に貢献します。さらに「スナ苔」からの蒸散作用で、ヒートアイランド現象を抑制します。

  • 冷房使用期(6月〜9月)の120日間で、約16.8トンのCO2と、約63万円の光熱費の削減効果。 算出条件:緑化面積(1,000m2)、冷房期日照時間(600時間)、冷房効率(0.84)、都市ガスのCO2換算係数(2.28kg.CO2/N m2

名木・貴重木の増殖ビジネス

方針・計画

住友林業では、各地の名木・貴重木を後世に受け継ぐため、原木の性質を再現する増殖技術の開発に取り組み、ビジネスとして展開していきます。

実績

組織培養により、天然記念物「祐天桜」の苗木の増殖に成功

「祐天桜」は東京都の清岸寺にある桜の古木で、品川区の天然記念物に指定されています。高樹齢であることと、近年の急激な環境の変化により、樹勢の衰えが目立つようになり、後継稚樹の育成が望まれていました。住友林業と住友林業緑化(株)は、これまでに開発した手法を応用して研究を進め、組織培養法を活用して、苗木の増殖に成功しました。
また、今回の調査研究の中で、住友林業が(独)森林総合研究所等とともに開発した約200品種の桜のDNAから構成される桜のDNAデータベースを用いたDNA個体識別を行いました。その結果、祐天桜が新品種である可能性が高いことがわかりました。

今後の計画

  • 「祐天桜」の増殖した苗のDNAチェックや開花後の花弁調査などを行い、花や葉などが同じであることを確認します。その後、祐天寺の記念事業等において、培養苗を活用していく予定です。
  • さらに、今後は桜のDNAデータベースや組織培養法を活用し、栽培品種名の不明なサクラの識別を行うとともに、今後は日本各地にある名木・貴重木の増殖ビジネスに取り組んでいきます。また、さまざまな樹木の種や個体の識別、種の多様性、生い立ちなどを確実に把握することで、次世代へ貴重な樹木をつないでいきます。

海外植林コンサルタント事業

方針・計画

熱帯地域における森林経営のノウハウを活かし、熱帯地域での荒廃地の修復、生物多様性の回復、地域社会との共生に配慮した環境植林・育林などのコンサルティングを行っています。

実績

三井住友海上火災保険(株)の熱帯林再生プロジェクト

国立公園内の荒廃した森林を修復することを目的に、インドネシアのパリヤン野生動物保護林の植林活動を進めています。
2005年4月から進めてきた植林活動を継続し、2011年3月までに350ヘクタールの土地に約30万本の植林を完了しました。

植林前(2005年9月)

植林後(2010年10月)

ローランド(株)の産業植林と環境植林

2007年より、インドネシア林業公社管理地にて、木材生産を目的とする産業植林と、伐採は行わず、水源涵養機能の増進と地域経済への貢献、地球温暖化防止への貢献をめざす環境植林の双方を実施しています。前者は合計72.4ヘクタールの植林を行い、伐採された木材の一部は同社が生産する電子ピアノのキャビネット部材となります。後者については合計30.6ヘクタールの植林を完了しました。
2010年度は環境植林地において、乾燥等により枯れた植栽木に対する補植も行いました。

植林前(2007年9月)

植林後(2009年9月)

今後の計画

  • 三井住友海上火災保険(株)の熱帯林再生プロジェクト
    これまでの植林活動で回復した森林が再び伐採や無計画な農地化により荒廃するのを防ぐため、農業技術の指導などを通じて地元住民の収入向上を図り、永続的に森林が維持される体制づくりに取り組みます。
  • ローランド(株)の植林事業
    産業植林は2015年3月までの8年間を事業期間としており、2012年より伐採を実施する予定です。環境植林の事業期間は2012年3月までの5年間です。

衛星情報の活用による植林事業モデル

方針・計画

住友林業では、観測衛星の情報を活用した、新たな植林事業モデルの開発に取り組んでいます。衛星情報を用いて、広域に及ぶ植林予定地の環境情報を高い精度で取得・推定することにより、開発途上国における植林事業の推進につながると考えています。

実績

衛星情報を活用した植林事業開発支援ツールの開発と実効性検証を推進

2008年、住友林業と広島工業大学、京都大学が共同で提案した「開発途上国における植林事業のための衛星情報活用モデルの構築」が、(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)の産学官連携部が募集する「宇宙オープンラボ」に選定されました。以来、2010年度末までJAXAとの共同による研究を継続してきました。

この共同研究から得られた知見を基に、当社が大規模な産業植林事業を進めているインドネシア・西カリマンタンの植林地において、衛星情報を活用した植林事業開発支援ツールの開発と実効性検証を進めています。衛星データを利用して、植林対象地の詳細な地形を把握したり、すでに植林が行われた土地での樹木の成長度合いを推定したりすることによって、より効率的な植林事業が行えると考えています。

木質バイオマス発電によるCDM事業

方針・計画

2008年5月23日、リンバ・パーティクル・インドネシア(RPI)における、製材端材とおが屑を主燃料とする木質バイオマス発電事業が、国連CDM理事会にクリーン開発メカニズム(CDM)事業※1として登録されました。

これは、4メガワットの木質バイオマス発電設備を導入し、従来のディーゼル発電の代替を図るもので、年間約1.5万トンのCO2排出量削減を見込んでいます。インドネシアにおいては、初の木質バイオマス発電CDM事業です。

実績

国連による審査を経て10,982tのクレジット(CER)が発行

国連による審査を経て、2011年3月に2009年度分として10,982tのCER※2が発行されました。今までに発行されたCERの多くは、フロンガスや窒素酸化物削減に由来するものや、水力や風力などのクリーンエネルギー利用によるCO2削減に由来するものです。今回、RPIの取り組みに対して発行されたのは、発行実績が少ないバイオマスエネルギー利用によるCERです。


RPIの木質バイオマスボイラー

今後の計画

今回発行されたCERは、住友林業グループのCO2排出削減やCSR活動、また排出権取引など、さまざまな用途に応じた取り扱いを推進していきます。

  • ※1 Clean Development Mechanism(クリーン・ディヴェロップメント・メカニズム/通称:クリーン開発メカニズム)
    先進国が開発途上国において技術・資金等の支援を行い、温室効果ガス排出量の削減、または吸収量を増加する事業を実施した結果、削減・吸収できた排出量の一定量を先進国の温室効果ガス排出量の削減分の一部に充当することができる制度
  • ※2 Certified Emission Reduction(サーティファイド・エミッション・リダクション)
    CDMのルールに則って温室効果ガスを削減し、その排出削減量に基づき発行される国連に認証されたクレジット

木質バイオマス発電事業の推進

方針・計画

建物を解体する際に出る木質産業廃棄物や間伐材等を利用したバイオマス発電事業を実施することで、木材のリサイクルを推進し、森林資源の効率的な利用を図ります。また、CO2排出量を削減して地球温暖化防止への貢献をめざしています。

実績


川崎バイオマス発電(株)と
ジャパンバイオエナジー(株)

バイオマス発電を行う会社を設立

2008年4月に、住友共同電力(株)、フルハシEPO(株)と合弁で、神奈川県川崎市に燃料用木質チップを利用したバイオマス発電事業を行う川崎バイオマス発電(株)、チップ供給会社のジャパンバイオエナジー(株)を設立。国内最大級のバイオマス発電事業として、2011年2月から営業運転を開始しています。


事業の概要およびスキーム図

廃材を燃料として供給するしくみを構築

住宅の建築現場から収集した廃材などをジャパンバイオエナジー(株)がチップ化し、隣接する川崎バイオマス発電(株)の発電所に燃料として供給するしくみを構築しました。チップ工場と発電所が隣接していることで、チップ輸送に伴うエネルギー消費量を大きく削減しています。また、チップ工場と発電所で用いられる電力も、すべて自給する体制をとっています。

今後の計画

安定して最大限の発電を継続できるよう、バイオマス燃料を確保するとともに、森林資源や他の未利用バイオマス燃料の開発を積極的に行っていきます。

社内外からの声
  • 各地の電力会社や地域住民と連携し、マクロな意味での「暮らし」の保全を社会全体で支えていけるよう、これからも頑張ってほしい。(学生)

民間企業初の国内森林吸収型オフセット・クレジット(J-VER)の販売と活用

方針・計画

環境省が地球温暖化対策として推進するオフセット・クレジット(J-VER)制度は、温室効果ガスの排出量を削減、もしくは吸収する国内のプロジェクトを対象に、その削減・吸収量を、カーボンオフセット用のクレジットとして認証する制度です。こうしたオフセット・クレジット(J-VER)の活用が、山林経営の採算性を向上させるビジネスモデルの一つとなり、国内山林の活性化を促す効果にもなると期待しています。

実績

森林吸収型オフセットクレジット(J-VER)を販売

2009年7月、住友林業の社有林がJ-VER制度の「持続可能な森林経営促進型プロジェクト」第1号として登録されました。その後、検証機関による検証を経て、森林CO2吸収量2,083t-CO2が、2008年度分のJ-VERとして発行され、販売を開始しました。展示会などのイベント用オフセットに利用されており、2010年10月に名古屋で開催されたCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)開催に伴うCO2排出量のオフセット用に利用されました。2010年度は1,590t-CO2を販売し、2011年5月に2009年度分吸収量としてJ-VER2,151t-CO2が発行されました。

  • 対象は、宮崎県山瀬地区の社有林

越智産業(株)にJ-VERを販売

2010年8月、越智産業(株)に30t-CO2のJ-VERを販売しました。このクレジットは、同社が全国各地で主催した商品展示会「アイラブホームフェア」の来場者1人あたり1kgのCO2をオフセットするために使用され、延べ22,349人分の22.349t-CO2がオフセットされました。残りのクレジットは越智産業(株)が主催するイベント・会議で使用され、2011年も同様の取り組みを継続しています。

住宅展示場で排出するCO2をオフセット

住友林業の住宅展示場では、CO2排出量削減に向けてさまざまな取り組みを行っていますが、さらに環境配慮を推進させるため、2010年10月より、当社グループが推進する「プロジェクト EARTH」の取り組みの一環として、全国の住宅展示場290棟にて排出されるCO2を、自社のJ-VERを活用してオフセットしています。これは、展示場の運営により1年間に排出するCO2全量を、J-VERが発行される2013年度まで3年半にわたり相殺するものです。2010年度末までの約半年間で、約1,500t-CO2を使用しました。

「住まい博」でのCO2排出量をオフセット

2011年1〜2月に東京、名古屋、大阪で開催した「住まい博2011」においては、各会場での電気・ガス・水道使用によって排出されたCO2(3会場合計で54トン)を、自社J-VERの使用によりオフセットしました。